買取の準備
生産21カ国すべてにプロダクション・オフィスを設け、製造業者との関係を密にしている事もリードタイム圧縮に貢献していると思われます。
この機動的な生産ネットワークを背景に、14カ国全店からデイリーに集信さまざまな角度で分析し、トレンドファッションのタイムリーな開発・投入を行なっているのです。
地域別に商品構成を大幅に変えているのも特徴で、欧州の標準店がストリートファッションからベーシックカジュアルまで幅広く揃え、ファミリ一対応も重視しているのに対し、米国ではトレンドに敏感な若いキャリア層にターゲットを絞り、メンズは大幅に圧縮しています。
2001年度は14カ国すべてが増収で本拠スウェーデン以外は2ケタ成長を果たしており、市場順応性の高さもH&Mの強みととなればZARAが適応にてこずっている日本市場にも順応できるはずで、遠からず進出してくることになるでしょう。
その時、最も打撃を受けるのはZARAよりユニクロなのかも知れません。
ギャップ社の失速と復活84年にSPAに転じて87年1月期の決算発表で『自社企画ブランドによる製造直売専門店』を宣言し、今や世界最大のSPA企業となったギャップ社も、2002年9月まで29ヶ月連続して既存店前年割れが続き、この偉業を成し遂げた偉大なCEO、ミラード・ドレクスラー氏(愛称ミッキー)が10月11日ついに退任。
ミッキーが活躍するウォルトディズニー杜のグローバル・テーマパーク会長から転じたポール・プレスラー氏にバトンを渡しましたが、皮肉にもミッキーが退任した10月になってようやく復調の兆しが見えてきたので10月の既存店売上が11%増と急浮上し、第3四半期決算(8、10月)も既存店が2%伸びて9%の増収となり、最終損益も前年同期の赤字から黒字に脱却。
「ベーシック回帰」で97年下期から続いた絶好調が99年下期から減速して2000年第1四半期には既存店売上が減少に転じ、10四半期の低迷を経て11四半期目でようやく浮上の糸口をつかんだのです。
11月の既存店売上も9%増、12月も同5%増と伝えられますから、ギャップ社の回復は本物と見てよいでしょう。
振り返って見れば、底となった2002年1月期の売上高は1.3%増と83年来最低の伸びにとどまり、営業利益は82.5%も減少。
営業利益率は8.4ポイントも低下して1.7%と、SPA化への大リストラで倒産の噂さえ出た85年1月期の4.3%をも下回り、税引後純利益はギャップ(原宿店)オールドネイビー(サンフランシスコのフラッグシップ店)バナナリパブリック(サンフランシスコのストーンズタウンギャレリア店)776万ドルの赤字に転落したのです。
既存店売上は、最も落ち込みの小さいバナナリパブリックでも8%減、ギャップ&ギャップキッズの国内が12%減、海外が11%減、オールドネイピーは16%も減少。
2000年1月期は2万ドルに迫っていた坪売上も1万3996ドルとわずか2年で3割近くも低下し、営業経費率は3.3ポイント上昇して40.7%と2期連続して過去最悪を更新。
マークダウンの肥大で粗利益率は42.4%と、5.1ポイントも低下してしまいました。
かつてない業績悪化を受け、2002年2月にはムーデイーズとS&Pが社債格付けを「投機的水準に引き下げ、ファーストリテイリング社の社長交代が発表された2週間後の5月21日には中興の祖、ミラード・ドレクスラーCEOの辞任が発表されるに至ったのです。
2002年上半期は4.1%の減収、43.3%の営業減益と減収減益を継続し、営業利益率も3.0%と前年同期比2.0ポイント低下。
全社既存続しましたが、夏以降は「面感のあるベーシックへの回帰」が奏功してか落ち込み幅が月を追って縮小し、10月の浮上へとつながったジャパンはジャパンフィットや日本専用モデル投入等で2001年秋冬期に一度回復し、セレクトショップ流のスタイルミックス訴求も導入した2002年9月には本格浮上していましたから、本体の浮上も時間の問題でした。
今回の浮上が本格的な回復につながるかどうかは、まだ予断を許しません。
が、ギャップ社の好不調の波をSPA化を果たして成長に転じた85年以降の業績史から見れば、『ベーシック回帰で好転して拡張し、飽和感から頭を打つとファッション化路線に走って不調に転落する』というプロセスの繰り返しであることがわかります。
その好不調の波は、好調期間が長ければ不調期間も長く、好調期間が短ければ不調期間も短く、好調期とその後の不調期はほぼ同期間になるという特色が見られます。
ギャップが国民的ブームとなった89年上期から92年上期までの7半期の好調のあと、7半期の粁余曲折を経て95年下期から96年上期は短期的に復調しましたが、96年下期から97年上期は再び失速。
97年下期から99年下期までの5半期の好調の後、2000年上期から失速して2002年上期まで5半期間低迷。
日本では2002年9月から、米国でも同10月から回復に転じていますが、このサイクルから見る限り、ギャップ社は次の好調期に入ったと見てよいでしょう。
実はギャップ社をベンチマークしてきたファーストリテイリング社の業績にも、3半期遅れて似たようなサイクルが見られます。
98年下期から2000年上期の6半期の好調期から2001年下期に失速した流れから見れば、本格回復は2004年上期からになるはずです。
結果的な好不調サイクルに共通性が見られると言っても、98年の工業的SPA化以前のファーストリテイリング社の好不調サイクルは、調達手法の変更を伴う商品政策の披行によるものでした(OEM調達とNB調達の聞を揺れ動いていた)085年のSPA化以降、一貫して自社企画開発型OEM調達政策を変えていないギャップ社と比較できるのは、98年下期からのサイクルに限られます。
ギャップ社は2002年下期から回復に転じたと見られますが、これまでのサイクルが繰り返されるとは限りません。
なぜならギャップ社の米国内総店舗数は2002年第3四半期末で3635店(ギャップ&ギャップキッズ2339店、オールドネイビ850店、バナナリパブリック446店)にも達し、市場の飽和感が高まっているからです。
ギャップ社失速の要因のひとつが、大量出店による飽和感とロスの肥大でした。
ギャップ&ギャップキッズの囲内店舗は99年度以降の3年間に822店、オールドネイピーも400店増加しています。
2001年度(2002年1月期)の売上高は前者が52億ドル、後者も51億ドルと、ともにアパレル専門店業態としては米国でも突出して大きく、全米アパレル専門店市場に占める推定シェアはギャップ&ギャップキッズが3.07%、オールドネイビーが3.02%、計6.09%にも達していました(ユニクロのピーク時の4186億円は国内アパレル専門店売上の4.65%に相当)。
ベーシック商品主体とは言え、飽和感が急速に拡がったのも無理からぬことでした。
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